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「いのちの輝き」

 

「いのちの輝き」と聞くと、先月発表された大阪万博の赤くて奇妙な形をした、気になるあいつが思い浮かびます。
最初見た時はあまりの奇抜さに「これがロゴマーク?パニック映画に出てくる、人類が生み出してしまった悲しき魔物ではなく……?」とぎょっとしましたが、慣れてくるとだんだん可愛く思えてきたのが不思議です。

突如現れてネットミームと化したいのちの輝きくんが人々の想像力の中でたくましく増殖し、その名に相応しい輝きを躍動感いっぱいに放つ様を夢中で追いかけていたらあっと言う間に数時間以上が経っていて、うわーと気が遠くなってしまいましたが…………。

いや、そんな話をしたかったんじゃなくて、「いのちの輝き」って、昔読んだ本のタイトルでもあるんですよ。
もう手元にはないのですが、すごく心に響いた本だったんです。それを思い出して、紹介してみたいと思いました。

『いのちの輝き フルフォード博士が語る自然治癒力
ロバート・C・フルフォード & ジーン・ストーン著』
https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784881354643

こちらの本です。オステオパシー医であるロバート・C・フルフォード博士という方が90歳の時に書かれた本だそうです。オステオパシー医でありヒーラーとして知られていた博士が治療や癒しについて語っている内容です。リンク先に飛んで概要をお読みいただくと、なんとなく雰囲気がつかめるかも。立ち読みもできます。

オステオパシーは、西洋で生まれた医療体系の一つです。あまり耳慣れない言葉かもしれませんが、日本にも治療院があるみたいですね。

骨格などの運動器系、動脈・静脈やリンパなどの循環器系、脳脊髄液の循環を含む脳神経系など、解剖学的あるいは生理学的な広範囲の医学知識の元に、手を使って治療を加える。(中略)しかし、単なる療法ではなく、オステオパシーとは、そのままでひとつの哲学であり、1. 身体全体をひとつのユニットとして考える、2. 身体の機能と構造は一体のものであると考える、3. 自然治癒力を鼓舞することを主眼とするなど、独特の医学体系を持つ。(Wikipediaより引用

オステオパシーの手法の一つであるクラニオセイクラル(頭蓋仙骨療法)の方がご存知の方が多いかもしれません。
私も詳しくはないのですが、カウンセリングで大切にしたいと感じているものとオステオパシーの哲学には共通するものがあると感じているのです。特に、副題にもある「自然治癒力」を鼓舞することを主眼とするというところ。そして、そのための観察力・洞察力です。

この本の内容で、特に印象に残っているエピソードがあります。

オステオパシー医のトレーニング方法に、髪の毛を一本置いて、その上に紙を重ねて、どこに髪があるかを感じ取る。感じ取れたらまた紙をもう一枚重ねて、髪の場所を当てる。それを繰り返し、何枚も紙を重ねていって、最終的には二十枚近く重ねても髪の場所を知覚できるようにするというものがあるそうです。
すごい!人の感覚って、そこまでのことができるんですね。

インサイト・カウンセリングの大嶋信頼先生が体系化されたFAP療法と並んで私のセラピストとしての考え方に大きく影響を与えたものに、「野口整体」というものがあります。野口整体では背骨に指で触れて観察するのですが、練習ではなんと、うつ伏せで寝ころんだ人の背骨の上に木刀を重ねて置き、背骨ではなく木刀を触るのです。木刀を触ってその下にある背骨一つ一つの状態を指先で感じ取り、例えば頸椎の何番目の骨が左に捻じれている、腰椎の何番目の骨の指一本分横が硬くなっている、などの感覚が分かるように訓練するそうです。

私の恩人でもある野口整体の先生は、人の背骨を触って、何も聞かなくても「この人は昔アトピーだったけれど、それを20年前に漢方薬で治したことがある」って情報まで分かる方です。聞いてもっとびっくりしたのは、とある男性の背骨を触っただけで「あなたの奥さん妊娠してますよ」と分かったという話です。奥さんはその場にいなくて、おまけにその奥さんご本人もまだ妊娠に気づいていなかったのに、後日病院で調べてみたら本当にそうだったとか。
人って繋がってるんだな~って、この仕事をしていて日々思う事ですが、本当に面白いです。それにしてもこの先生は達人ですよね!

カウンセリングは職人技だと大嶋信頼先生がよく仰っていましたが、どの分野の職人も、道を極めた人はすごいんだなあ……とただただ感服するばかりです。

私が「いのちの輝き」という本を読んだのはもうずっと前のことなので、どうやってこの本に出会ったのかすら覚えていません。楽になるための答えがほしくて手あたり次第に読んだ中の一冊だったのか……それか、もしかすると、副題にある「自然治癒力」というキーワードが気になったのかも。昔から不調だらけだったからか、対症療法で終わらず根本的に良くなりたいという思いが強かったので、「自然治癒力」は魅力的で気になるワードでした。
人には回復する力があるはずだと希望を持ちたかったのか、無意識が「こっちだよ~」と手招きしていたのか……。

まだ私がカウンセラーの仕事を始める前に、クライアントとしてカウンセリングを受けに行ったら、先生のオフィスの本棚に「いのちの輝き」が置いてあるのが見えて、あ、繋がっているんだな~と嬉しくなったものでした。
心が求めていれば、必要なものには必要なタイミングで繋がるようにできているのかな、そうだといいなって思います。

「いのちの輝き」の原著は90年代に発行されたもので、著者のフルフォード博士のお年が当時90代ですので、最新の内容ではありません。でも、人間の本質、いのちの本質、癒しの本質というものは、時代が変わっても変わらないものだと感じます。

「人のからだには、自ら治ろうとする力が秘められている。治療はその力に火をつけるだけ」

フルフォード博士の言葉です。ご存命だったらぜひお会いしてみたかったです。
「治療はその力に火をつけるだけ」なのは、カウンセリングも同じだと思います。カウンセラーって何かしているようで、見て、聞いて、感じる以外に、殆ど何もしていないんです。むしろ、何か余計なことをしてしまっていないだろうか?歪めて見てしまっていないだろうか?勝手な主観を押し付けてしまっていないだろうか?とよく考えさせられます。

主観を取り払えば、歪められたものではない、その人本来の姿が見える。
それが「いのち」であり、その方が持つ輝きだと思うのです。

何枚紙が重なっていても、その下に髪の毛一本が存在するのが分かる。硬い木刀越しでも、背骨の僅かな変化が感じ取れる。そんな風に、たくさんのトラウマや、かけられた暗示や思い込みで覆われて、歪められて、もう本人にすら自分がどこにいるのか、どんな人間だったのかが見えなくなってしまっているとしても、そこに確かに存在するその方の本来の姿を、真っ直ぐに見て、耳を傾けて、感じたいと思うのです。

いのちの輝きくんのおかげで、改めて基本に立ち返らせてもらったような気がしました。

もう手元にない本をうろ覚え状態でお勧めするのもなんですが、「いのちの輝き」はとっても素敵な本です。「Dr. Fulford's Touch of Life」という原題も素敵です。

呼吸やトラウマについても語られていて、ハッとさせられるエピソード満載です。もし機会があったら、そして気が向いたら読んでみてください。
今は電子書籍版が出ているみたいなので、久しぶりに私もフルフォード博士のいのちへの想いに触れたくなりました。

前回のブログの続きを書くつもりだったのに、予定が変わっちゃいました。こんな感じで気まぐれ更新になりそうです。
前回の続きはまた今度書きますね。ではまた~!

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